仕事をお願いしている在宅ワーカーまりちゃんが、
「今日は仕事を休ませてください。乳がん検診に行くので」と言った。(まりちゃんは30代)
「若いのにえらいね。休んでいいよ」と私は言った。
在宅ワーカーまりちゃんは、
「うちはがん家系だから」と言った。
- 「私の家系にがんはいない」は通らない。2人に1人ががんになる時代
- 左乳房がチクチク。なにか異変を感じたらやっぱりちゃんと検診を
- 「予約をしてまで検診に」という選択肢は私にはなかった。
- 「今だ、今日しかない!」
「私の家系にがんはいない」は通らない。2人に1人ががんになる時代
私の家系にがんになった者はいなかったし、長生きの家系である。「叔父さんが怪我をして入院した」とか「転んでおばあちゃんが入院した」などはあるが、病気見舞いをした経験は一度もなかった。つまり、「老衰家系」である。
我が家は夫婦ともに自営業で、「健康診断」などは自発的にいかない限り、会社からの強制などはない。
加えて、主人の家系も「老衰家系」である。
加えて、夫婦ともに元気であり、病院のお世話にはなっていない。
左乳房がチクチク。なにか異変を感じたらやっぱりちゃんと検診を
50過ぎた頃から、春になると、左乳房にあるしこりがチクチク。
「がんは痛くないよね」と笑いながら放っておいた。
また春が来た。またチクチク。
在宅ワーカーまりちゃんが「予約なしで、飛び込みで受けることのできる病院がありますよ」と教えてくれた。
「そうよね、もう50過ぎてるし、行ってみようかな」
病院の住所、駐車場の場所、どこの入り口から入ったらいいなど、丁寧に教えてくれた。
当時は「15分で予定が変わる」と言われるくらい、ころころと仕事の予定が変わるので、私には「予約と約束」という辞書はなかった。
友達と会う場合でも「いま、暇になった。今からどう?」というような具合。当然、友達も皆、同じような環境の仲間であった。
元気な私は、仕事を止めてまで検診する気は全くなかった。
「予約をしてまで検診に」という選択肢は私にはなかった。
54歳の春。(2010年5月)
またまたチクチクし始めた。
ちょうど、仕事がポンと空いたので「いまから検診に行こう」と思ったが、まりちゃんの紹介する病院は土曜日で休診だった。
とりあえず、「今日しかない」と思った私は、近くのレディースクリニックに行った。
「うちにはマンモグラフィーはありませんよ」と言われたが、触診してもらって、どこか紹介してもらえればいいやというつもりで、問診票を書いた。
2時間待ったが、呼ばれる気配がない。さらに、そこのクリニックは午前中で終わりである。
「待てないので」とあやまり、土曜日の午後もやっている別のレディースクリニックに梯子した。
私の頭の中では、
「これは乳がんかもしれません。紹介状を書きますので・・・」と言われることを想定していた。
ところが、想定外。
「乳腺炎ですね。葛根湯を出しておきましょう」 ガクっと来た。
しかもご丁寧に「葛根湯」のファイルを出してきて、製薬会社を選ばせてくれる。
「ツムラかな?」と私は言った。
「ついでに、子宮がん検診もしておきましょう」
(ちょっと思った。胸だけじゃお金にならないので、子宮がん検診を追加されてしまったのか? と)
「乳がん検診はしたことがない」と伝えていたのに、そこはスルー。
あの左胸のしこりを、一発で「乳腺炎」と診断したのだから、まさか誤診ではないだろうと信じてしまった。
「葛根湯を出しておきますが、一度、設備のある病院へ・・・」とも言われなかったし。
何だか拍子抜けした。
息子の嫁に「乳腺炎だって」と話すと
「その年で乳腺炎ですか、授乳もしてないのに」と笑われた。
処方してもらった「葛根湯」は飲んだ記憶がない。
忙しさにかまけて、それ以上の行動も起こさなかった。
(ここの判断が大きな間違いだと後になって思うのだが)
また春が来た。
またチクチクする。
また「葛根湯かぁ?」
それは、ないない。
いくらなんでも、もう「葛根湯」では済まないだろう。
今度こそマンモグラフィーなどの設備が整ったところに行こう。
2012年5月1日。56歳の時である。
本当に、たまたまではあるが、総合病院の前に来たときに、仕事の予定がキャンセルになったと電話が入った。
「今だ、今日しかない!」
そのまま、設備の整った総合病院に飛び込んだ。
飛び込みだったので、1時間半は待ったが、先生は、触った瞬間「乳がんです」。
速攻の告知である。
しかも、しこりのない、チクチクもしない右胸にも乳がんが見つかった。
つまり、左右両方の胸に乳がんが見つかったのである。
「先生、すぐに切ってください」速攻で返した。
何故ならば、私の仕事は5月は暇なのだから。
「入院するなら、いまでしょ!」
その後、2回の再発をするわけになるのだが、
在宅ワーカーまりちゃんが言ってくれたときに、速攻で検診に行っていれば、その後の再発は免れたであろうと今でも思っている。
見つかった時には、ステージⅡb
検診はとてもとても大事でございます。
いつもお読みいただきありがとうございます。
ポチっと押していただけると励みになります。