乳がん告知はスタートライン

切ってしまえば終わりだと軽く考えていた乳がん。乳がん告知はスタートラインにたったにすぎない。その後再発、再々発。ただいまホルモン療法継続中。治療のこと、お金のこと、気の持ち方で大きく変われることなど、私なりに体験したことを書いていくブログです。

1年8カ月で奇跡的に転移が見つかる。左腋リンパ節郭清術で2週間の入院

1回目は左・右乳がん温存術のため1週間の入院をした。
その後、放射線治療を受け、ホルモン療法を続けていた。
傷痕はだいぶ癒えてきたものの、毎日1粒飲むホルモン剤で、手足の指先がしびれる。
第一関節から先、指10本のしびれのために、私の自慢であった、高速タイピングに入力ミスが多くなり始め、仕事も減らしていたころ、リンパ節に転移していることが分かった。
 

それは奇跡ともいえる発見か? 先生の手が滑る。

3カ月ごとの定期検診には必ず通った。(いい加減な私もこれだけは欠かさずに)
検診の時、「いいですね。肺もきれいです、肝臓も、…」と。血液検査の数値もどこも問題なく、胸のエコー検査だ。
「はい、いいですよ。問題ないですよ。」

最後に触診。

右胸を指で触りながら、「はい大丈夫」

左胸を指で触りながら、「はい大丈夫。問題ないね」

ところが先生の手が左胸から腋に滑った。

「うん?」と先生。何度も腋あたりをいったりきたりしている。

もう一度エコーを掛ける。
「先生、見つかりましたか?」と聞いた。
「あるね、ここに」と先生。

f:id:happiness4970:20190616151506j:plain

もう一度パソコンで画像を過去に遡ってみると、3カ月前の画像で確かに極々小さな黒いものがある。
それは、いまここに乳がんがあるという事実のもとに過去に遡って見直したからわかるわけで、あの時点で発見してくれたらよかったのになどとは思わない。
「見落としじゃないの?」と周りからは言われたが、私はそうは思わない。
 
私一人に1日掛けて隅々まで検査をしているわけではない。保険の範囲内での治療をしているわけだから。
むしろ、先生の手がすべったことが奇跡だと思っている。
見つけてくれて感謝である。
 
不信感など微塵もなかった。治療には先生との相性もあると思う。
この奇跡は3回目のときも起こった。
 

乳がんを取引先に発表する その結果は?

私は弱小個人事業主である。2回目の乳がん、左腋リンパ節郭清術の入院は2週間。
さすがにこの2週間を取引先に内緒にして入院するわけにはいかない。

2週間の留守で影響がでそうな3か所の取引先には連絡を入れた。
 
1か所は「元気になったら連絡をください」だった。その後のお取引はない。
もう1か所は「誰か代理を立ててください」だった。
「電話連絡はつきますので」と私は言ったが、先方にしては当たり前のことである。
私がそのまま目を開けない場合もあるだろうし、本人が知らないだけで、重篤な症状なのかもしれない。そんなところに仕事は出せないのはよく理解できる。
在宅ワーカーさんの中から代理を頼んだ。
 
もう1か所は、女社長で乳がんサバイバー。彼女も仕事を回しながら内緒で手術をしていた。
術後、枕元の携帯電話の音で目が覚めた。2台の携帯電話が交代で鳴る。
女社長からだった。
「実はいま乳がんの手術が終わったばかりで・・・」と私は言った。
「そう、文字起こしの仕事あるんだけどね。手術の当日は無理だろうから明日持っていくわ」だった。
翌日、女社長はお見舞いと音声テープを持って病室に来た。
 
「無理はしないでね」と人は言うけど、私たちにはこれがある意味、治療に対してモチベーションを上げてくれるわけだ。
 

夜のリハビリ 先生と二人三脚で

術後、先生は毎晩病室にやってきた。リハビリである。
リハビリ室に行ってするリハビリも毎日メニューには入っているが、それとは別に夜、先生が病室にやって来る。
「退院までには、必ず腕が動くようにするから」と。
「一度固まると動かなくなるから」と。
痛みにはめっぽう強いほうであるが、さすがに痛い。先生はお構いなしにぐるぐる回す。
「自分の患者は自分が責任を持つ」という先生だった。
先生は仕事が終わってから、自分の担当の患者の病室を回っていた。
 
いま何の違和感も痛みもなく腕が動かせるのは、先生のお陰だと感謝している。
 

まとめ

やはり私は医師との相性だと思っている。
私が先生に希望したことは、ただ1点のみ。

乳がん手術後も、リンパ節を取っても仕事を続けることができること」だった。

手術前に私は言った。「先生がもし間違って私の心臓にメスを入れても、私はそれでいいです」と。
まぁ、過激な発言ではあったが、先生も笑ってくれた。

「見落とした」とか「病院を変えたほうがいいんじゃない?」とか、周りはいろいろと私のために心配はしてくれるが、私はぶれない。
 
  • あの病院には名医がいるからといって県外での治療ができるのか?
  • 保険外治療をするお金が準備できるのか?
  • 仕事をせずに治療だけに専念できるのか?
どれをとっても私には無理な話だ。
それができる友人がいた。担当医師の診断が不安になり、あちこちを転々として病院難民になっている。そして、勝手に自分で大病の診断名を下し、心まで病気になっている。
「貧乏暇なし」。これが「明るい乳がん患者」でいられる秘訣かな?
 
 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 ポチっと押していただけると励みになります。

 にほんブログ村 病気ブログ 乳がんへ
にほんブログ村