左腋リンパ節郭清術が終わり、傷も癒え、2カ月が過ぎたころ初めての「化学療法 TC療法」が始まった。いわゆる「抗がん剤」である。
私の場合は、手術で乳がん細胞はとったのだが、念のために叩いておくための化学療法である。
私は「選ばれし者のみが受けることのできる抗がん剤」と名付けた。
TC療法 1回目が始まる前に準備したもの
脱毛に備えて まずウイッグを買い、散髪屋さんで丸刈り。
私が受けるより2年前の情報であるが、
同じTC療法を受けた同業の友人に仕事を依頼すると
「今日なら大丈夫。明後日からは無理!」と言った。
また仕事を依頼している外注さんは「今日中に仕上げます。明日からは無理なんで!」と言った。
私は、当時は抗がん剤の知識など全くなく、「明日から悪くなる」とか「3日後なら大丈夫」とか、あまり理解ができなかった。
ただ、「トイレとベッドの往復だった」とか「這うようにしてトイレにいった」などの話を聞いて、大変なんだなぁとは思った。
今回の副作用を想定して、トイレに近い部屋(私の仕事の部屋)に布団を敷いた。調子のいいときには仕事もできて一石二鳥!
もしも吐き気が襲ったらと、洗面器やタオルなどあらゆる想定をして準備をした。
TC療法 1回目開始
ワンタキソテールとエンドキサンという薬を腕から点滴で投与する。
抗がん剤を受ける部屋は薄ピンク色の部屋だった。
部屋にはテレビが置いてあり、枕も好みのものを選ぶことができた。
「今はいい吐き気止めがありますから、先にこれを入れますね」と点滴の中にいれた。
40分後 そのワンタキソテールとエンドキサンという点滴に変わる。
病室を出るまでにかかった時間は2時間半くらいだった。
家に帰ったが、予定していた副作用は何もなく、普通に過ごせた。
「明日からは無理」とか「3日後なら」とか友人が言っていた言葉を思い出した。
きっと、今日は体に薬が入ったばかりだからだろうと思っていた。
その後もちょっと微熱はあるものの、人さまのいう「副作用」のようなものは出なかった。
何事もなくTC療法 みごとに4回クリア
次の投与の1週間前に血液検査をして、白血球の数値が低ければ 「グラン」という白血球の数値を上げる注射をする。
そして、当日、白血球の数値が基準まで上がっていれば、抗がん剤の投与となる。
結局、人並みに白血球の数値は毎回下がり、毎回「グラン」は注射しなければならなかったが、その他の副作用をまったく感じなかった。
一度も吐くこともなく、吐き気止めを飲むこともなく、食事は普通に食べられるし・・
私が元気過ぎるのか、点滴が効いていないのかと心配になった。
ショッピングモールに予備のウイッグを買いに行った。
そこの店員さんに怒られた。「こんな人混みの中にマスクもせずに来るなんて」
店員さんのお母さんが乳がんで抗がん剤の治療中らしく、心配してくれたのだ。
私はそのくらい普通の生活をしていて、「只今抗がん剤治療中」を忘れるほどだった。
診察のときに「普段となんも変わりがないのですが、薬、効いてないんじゃないかと思うんですが、量が少ないんですかね?術後体重が減ったけど、いまは元にもどってるので効きが悪いんですかね」と先生に聞いた。
なぜ体重を気にしたかというと、点滴に入れる薬の量は「身長と体重」で体表面積を出して決めるからで、その時の体重が軽いときのものだったから。
その後太った私には薬の量が少ないのではないのだろうかと思ったわけである。
「いまはね、〇〇さんのときと違って、いい吐き気止めがあって、それを先に点滴の中に入れるから、あまり吐き気は出ないんだよ。ただ人によっては違うけど」
先生は私の友人の主治医でもある。
当時大変だったことも、年単位で変わり、医療の進歩を感じる。
こうして、何事もなく、4回をクリアし、「選ばれし者のみが受けることのできる抗がん剤」と称し戦うつもりだった私は、ちょっと拍子抜けした感じだった。
あとからジワジワ 確実に来る抗がん剤の副作用
体調的には食欲不振にもならず、吐き気も経験せずに治療は終わった。
化学療法が始まる前に、「予測される副作用」として箇条書きにしたプリントをもらったが、ほぼ何事もなし。
ただ、「脱毛」。この副作用だけは人さま並みに顕著にでてきた。14日目で丸坊主。
あとからジワジワと確実に来る抗がん剤の副作用と左腋のリンパ節をとったために出る副作用とが重なった話は次回持越しということで。
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