乳がん告知はスタートライン

切ってしまえば終わりだと軽く考えていた乳がん。乳がん告知はスタートラインにたったにすぎない。その後再発、再々発。ただいまホルモン療法継続中。治療のこと、お金のこと、気の持ち方で大きく変われることなど、私なりに体験したことを書いていくブログです。

げっ30回も!? QOLを考えた大きな決断。2度目の放射線治療開始。

治療中の病院からの紹介状を持って放射線治療外来に行った。

1度目(6年前)も放射線治療をした病院である。
8回の抗がん剤治療を無事終了し、手足の指のしびれや爪の変形など副作用は残っているものの、前回の経験から、今回も「楽勝」と思って受診した。

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照射するのは30回。甘い考えが一瞬で吹き飛ぶ先生の一言

先生は何か起こったときのために、起こりうる最大限の副作用や後遺症などの説明をする。インフォームドコンセントである。かなり大げさに言ってるな、と今までは軽く聞き流していた。
今回、先生が危惧しているのは、私が2度目の放射線治療だということである。
 
前回は、1か月間を覚悟して臨んだのに、「放射線量を倍に増やして、半分の回数でします」ということになり、15回の通院ですんでいた。
いろいろと説明された副作用も大きくでることはなく、左右両方の胸に照射した部分は、「少し日焼けしたかな?」というくらいで、ちょうどビキニの形で、少し赤くなったかなという程度だった。
 
今回は、「同じところに2度目の放射線を照射することのリスク」の説明を受け、回数は30回だという。
「前回は15回だったんですけど」と言うと、
「2度目だから、ゆっくりやらないと…」と先生に言われた。
私は、今回は左胸だけなので、勝手に15回ぐらいだなと思っていた。
 
正直、2度目はできればやりたくないが、紹介状には「濃いやつ」を頼むとあります。まぁ、僕は患者さんに3度目を、やったこともあるにはありますが…」と、先生は言った。
「皮膚がズルズルになる場合も」…。
できれば、本来ならばやりたくないという空気である。
 

先生は最後に一言「やらないという選択肢もありますよ」と付け加えた。

正直、想定外の発言に戸惑った。「そこまでひどいことになるのか?」
 

放射線治療はどうする?やるかやらないかの決断を迫られる。

簡単に考えていた私は、とっさに思い浮かぶ限りの私の希望を先生に伝えた。

放射線治療を受けて、命は延ばしてもらっても、仕事ができなくなると生きていけません。仕事をしているから、治療も受けることができるのです。」
 
以下、3つの質問をした。
 
・今回の放射線治療をしても、仕事は続けられるのか。
・治療を受けるのには、いくらお金が掛かるのか。
・治療を受けない選択をした場合、再発・転移が早まるのか。
 
簡単に考えて、受診したものの、大きな決断を迫られた。
 

優先順位はQOL(クオリティ オブ ライフ)。私は決断をした。

「なによりも大切にすべきは、ただ生きることでなく、よく生きることである」
 
・今回の放射線治療をしても、仕事は続けられるのか。
 腕を動かすことは困難になり、仕事を続けることは難しい。物を持つことやキーボード入力は無理かも。
 
・治療を受けるのにはいくらお金が掛かるのか。
 38万円。そんなお金は準備できない。どうするか。
 
・治療を受けない選択をした場合は再発・転移が早まるのか。
 私が仕事を続けることができなくなれば、治療もできないことを、乳がんの手術をしてくれた主治医はとても理解しているはずだ。
その主治医が「できるだけ広範囲に、できるだけ濃い放射線を!」と紹介状に書いたということは、そういうことだと理解した。
 
再度、私は「命を延ばしてもらっても、仕事ができなくなれば生きる道がない」ことを先生に伝えた。
偶然ではあるが、1回目の治療の時に「治療計画」を立ててくれた先生が、今回の担当医であった。
 
私は決断した。「いまならまだ仕事ができる。回復できる年齢でもある。受けることにしよう。」
 

先生と話し合いながら、放射線治療計画を立ててもらう。

・仕事を続けたいという希望に対しては
先生は、何人かの技師さんと話し合いながら、「なるべく、腕に支障がでないところのギリギリでやりましょう」ということになった。
 
・治療を受けるのにはいくらお金が掛かるのか。
治療費は「38万」といわれたが、よく話を聞くと、38万から健康保険で補填してもらえるということがわかった。
30回の通院である。健康保険を使えば12万。
 
先生は、「限度額適用認定証」が上手に使えるように予定を考えてくれた。
しかし、週5日の通院で30回。どうしても月はまたぐことになる。
限度額適用認定は、私の場合、負担額が9万弱である。同月内に9万を超えたところからが無料になるということである。
12万円を単純に2か月で割ると、月に6万円。1か月に詰め込んでも9万円には達しない。だから今回の治療には「限度額適用認定証」は使えなかった。
しかし、治療費のことまでいっしょに考えてもらえたことに感謝した。
 
・治療を受けない選択をした場合は再発・転移が早まるのか
この部分は、もう「運を天に任す」である。先生も何も言わない。
何故なら、私が「ただ生きること」ではなく、「よく生きる」ことを選択したからだ。
 

30回の放射線治療が始まる。

ゴールデンウイーク中も治療は続き、発熱やだるさなどもなく通院した。

3回目のときに、ブラジャーの肩ひものあたる位置がピリピリして赤くなった。
私は軽い火傷だと思い、技師さんに伝えた。
「違うと思います。先生に相談してみてください」と言われ、診察の日に先生に聞いてみた。
「う~ん。皮膚がんっぽいですね」
少々、ショックを受けた。
 
乳がんを部分切除で取り除き、8回の抗がん剤も終え、「只今絶賛放射線照射中」!
なのに皮膚がん?。正直、「治療の意味はないのか?」とも思った。
治療が終わるころには、消えていた。
30回、見事に1日も休むことなく終了した。
 

 まとめ

これで、3度目の乳がんに対する一通りの治療が終わった。
今後は、1日1粒のホルモン剤の服用と、3か月に一度の検診となる。
 
私の場合は、「顔つきのいいがん」と言われ、すぐに命にかかわるような乳がんではなかったが、5年間に3回の乳がん手術をすることになった。
 
私は、今後もやはり、QOLを最優先に考えていきたい。
私にとっては何よりもそれが「明るい乳がん患者」でいられる源であり、いまも元気に仕事を続けることができている理由だと思う。
 
懸念された、腕が動かなくなることもなく、毎日元気に働いている。
腕に関しては、リンパ節郭清後の、先生の毎日の強烈なリハビリと、放射線科の先生の「腕が動くギリギリのところでの照射」のお陰だと感謝している。
 
まだまだ、手足の指先(第一関節)のしびれや、放射線後の皮膚の引きつれ、湿疹など、副作用と後遺症は残っている。
 
後遺症をいかに楽にできるかを考えながら、やっていこうと思っている。
 
何故なら、私は「明るい乳がん患者」なのだから。 
 

いつもお読みいただきありがとうございます。

 

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